運命の恋はひとつだけ

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「ナツは東条主任のこと、頑張りなよ」 「……うん」 いっそ茉由子に本当の気持ちを打ち明けてしまおうかと思ったけれど、昼休みは残りわずかで時間がない。 茉由子も今は他人の悩みを聞く状態ではないだろうし、皆川さんに思いを告げる覚悟は決めていたから、現段階で相談できることはなかった。 私も箸を置き、お茶をすすりながらしみじみと呟いた。 「運命の恋がない運命ってのもあるのかな。私、三十年間何も起きないんだけど」 「三年前なら笑えたけど。今の歳では私も笑えないわ」 「切実だよ」
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