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何かを考える間もなく辿り着いた寝室の暗闇で、ベッドに下ろされるのと同時に腰に引っ掛かっていたワンピースが取り去られた。
続いて眼鏡だろうか、何かがサイドテーブルに投げ出される音がした。
のしかかってくる彼の背中に腕を回すと、切なさと喜びと痛みが胸に染みわたっていく。
再び唇が重なった。
彼の手が薄いレースをずらしてその下の肌に触れると、冷たかったシーツはすぐに熱くなった。
一度手が離れ、ネクタイを引き抜く鋭い音が寝室に響いた。
再び愛撫を受けて乱れ始めた息の中で、私はリビングでの躊躇とは逆の願いを呟いた。
「明かりを点けて下さい」
ただ彼の顔が見たかった。
裸を見られる恥ずかしさより、その気持ちが勝っていた。
躊躇するようなしばしの沈黙ののち彼が腕を伸ばすと、ベッドサイドの明かりがほんのりと二人をオレンジ色に染めた。
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