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「東条主任とどこかに寄ってきたのではないですか?」
リビングに入ったところで、彼が私に向き直った。
カクテル二杯で赤くなった頬にじっと視線が注がれる。
「はい、そうです」
嘘をついたりごまかす気はない。
彼の目を見てはっきり答えると、視線が合ったまま沈黙が落ちた。
「……酒以外に、食事は?」
「懇親会で色々と頂いたので足りています」
「そうですか」
禁酒令を破って怒られたのはついこの間のことなのに、あっさりとスルーされた。
彼の任務完了への流れが急速に終わりを迎えていることを感じて切なかった。
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