彼の“例外”

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二月に入ってほどなくして、私と永田くんは部長に呼ばれ、雑用の引き継ぎが行われた。 昨年の年末、皆川さんから言われた通り、私は東条主任に庶務の雑用について相談したことがあった。 あれから情報漏洩の件が持ち上がったせいで、それきりうやむやになったのだと思っていたのに、東条主任はきちんと話を通してくれていたらしい。 私と永田くんは部長立ち会いのもと雑用の総量とその作業手順、繁忙期を確認した上で、半分を永田くんに割り振った。 「坂本課長はオッケーなんですか?副本部長も」 「ああ、もう話はつけてあるから大丈夫」 これまではその二人の反対で分担が叶わなかったのに、今回はどうしたことか、部長はあっさりと太鼓判を押した。 前回と何が違ったのか不思議だったけれど、きっと東条主任が尽力してくれたのだろう。
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