第14話 彼の“例外”

彼の“例外”

その週の金曜日は例のセミナーの日だった。
会社の規定では、インフルエンザの場合、解熱後二日までは出勤停止だ。

私はどうしても皆川さんの会社に行きたかった。
彼はもうセミナー担当ではないので、会場にはいない。

でも、せめて彼に会える可能性が欲しかった。

今日は火曜日で、熱が即日下がれば金曜日に出勤できないこともない。

会社に電話して欠勤する旨を東条主任に伝えて謝ると、私はすぐに内科に駆け込んだ。

薬の処方を受け、大量のスポーツドリンクを買ってヨタヨタと自宅に帰る。

あまり喉も渇かないのに無理やりスポーツドリンクを流し込み、一日寝ていたけれど、解熱したのは翌日だった。

治癒としては最短なのだろうけれど、私はすっかり落胆してしまった。