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午後になっても副本部長は不機嫌で、部屋はお葬式のような雰囲気だ。
みんなとばっちりを食わないよう、息をひそめているようだった。
永田くんからは「副本部長の言い方、ひどいと思います」と慰めのメールが来たけれど、返事をしなかった。
悪いとは思ったけれど、悔しくて悲しくて、あの話題を考えると泣き出しそうだったのだ。
茉由子からの「何があった?大丈夫?」のメールには「ごめんね。大丈夫だよ」とだけ返した。
三時ぐらいに副本部長が空港に向けて発つと、ようやく部屋にいつもの会話と活気が戻ってきた。
でも私は総務に物品発注をかけ、十一月の本部収支を計算し、ひたすら机の上の雑用を無言で片付け続けていた。
いつもは私の机に放り込まれる精算伝票も、今日ばかりはきちんと所定の箱に入れられているようだった。
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