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「あ……」
まだファイルできていない処理済伝票のコピーの間から、見たことのない封筒が出てきた。
“人事本部長殿”
宛名にはそう書いてある。
「何ボヤっとしてるんだ!さっさと行って、私が溜めこんでましたと理由を説明してこい」
副本部長は感情の起伏の激しい人だけど、それを向けられたのは初めてだった。
弾かれたように封筒を持って部屋を飛び出す私の背後で、まだ怒りが収まらない副本部長の吐き捨てるような声が響いていた。
「もう少しましな女子社員はいないのか?だらしがないにもほどがあるだろう」
ドアの外には、中の様子に聞き耳を立てていた同僚たちが数人、固まって立っていた。
彼らの視線を避けるようにして、私は廊下を走り出した。
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