1584人が本棚に入れています
本棚に追加
キッチンに彼の背中が消えると、ぼんやりと放心してソファーにもたれた。
“僕はいつまでも居ませんから”
その言葉を頭の中で何度も繰り返す。
何度も繰り返せば、その度に走る妙な痛みに慣れると思ったから。
でもそれはなかなかうまくいかなかった。
キッチンから聞こえてくる音に紛れ、こっそり鼻をかんでからティッシュを片付ける。
泣いたせいで、まるで泳いだ後のように頭がぼうっとした。
あんなに冷たい印象の彼なのに、ソファーのチョイスは柔らかめが好きなのか、ソファーは天国のように居心地がいい。
食器の音、コーヒーの音を聞いているうちに、泣き疲れた私の瞼はだんだんと重くなり、部屋の景色が遠退いていった。
最初のコメントを投稿しよう!