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リビングにはコーヒーの香りが立ち込めていた。
「もうすぐ料理が届きます。希望がありましたか?適当に注文してしまいましたが」
「いえ!何でも食べます」
彼にマグを手渡されソファーに腰を下ろすと、コーヒーを飲みながらリビングを見回した。
かなり広いのに、部屋の主に似てあまり余計な物がない。
これではプライベートの彼を掴みにくいなと思っていると、マグを片手に正面の肘掛け椅子に腰を下ろした彼がニヤリと笑った。
「今のうちに寝室も見ておきますか?恋人なら当然長く過ごす場所ですから」
いきなりの衝撃に吹き飛ばされ、ソファーの背もたれに磔になる。
それを見て彼は手加減してくれるでもなく、わずかに口角をあげて立ち上がった。
うまく逃れるスキルもないまま、フラフラとついていく。
誰か教えて。
これはまずいのだろうか?
いやいや、自意識過剰だ。
彼は私に欲情しないんだってば。
どうすればいいのやら、開始早々、私はすっかり混乱状態だった。
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