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今日も簡素な身なりになってから海の前に立つ。
海の香り、波の音、泡(あぶく)。
それらは私の心臓の鼓動と重なり、血の一滴一滴に振動が伝わっていった。
身体中の水分と一体となっていくのを感じながら、うっとりと心を浸す。
しばらくしてから、私は大きく伸びをした。
そして海と太陽の光のおかげで色素が薄くなった髪を、しっかりと結わえた。
頭の後ろがキュッと引き上げられ、気持ちが締まる。
水抜きの確認をしてから、ゆっくりと全身を海の水に沈めた。
海水の刺すような冷たさに顔をしかめてしまう。徐々に水温に馴らしてから身体を倒して泳いでいく。
昔、祖母に泳ぐ姿が人魚みたいだと言われた。
それが嬉しく、また恐ろしくあった。
人ならざるものは、この島では禁忌であるから。
それに例えられた当時の自分は、かなり複雑な気持ちであった。
今は亡き祖母の思い出と共に、生業も引き継いで、私は宝珠とりをする。
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