第1章

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家族にアイドルになるんだって啖呵を切って一昨日家を飛び出し、新宿や渋谷、原宿を歩き回ったけどスカウトされない。 学校のクラスメートや近所の人達皆が、私の事可愛いって言ってくれているのに何故? 街の中を歩き回っているとき見つけた、洋服屋さんとかで色々買い物したら、持ってきたお小遣い無くなっちゃた。 それだけで無く帰りの電車賃まで使っちゃったよ、どうしよう? 持たされていたケータイは電池切れ。 家族に助けを求める事も出来ない。 歩き回って足が棒のよう。 大きな駅の近くの公園にあるベンチに腰掛け、これからどうしょうと思案していたら頭上から声をかけられる。 「嬢ちゃんどうしたんだい? こんな時間まで遊んでいたら駄目だろう」 顔をあげると、脂ぎった顔の男の人が私を見下ろしていた。 「ご飯食べさせてあげるから、小父さんと遊ばないか? お小遣いもあげるよ」 その男の人は私に話しかけながら、私の身体を舐め回すように見る。 私が黙り込んでいると、男の人は隣に腰掛けて私の肩に手を置き脅してきた。 「餓鬼が無視するんじゃネ――。 小遣いやるって言っているんだ、ついて来い」 「ヒィ! (怖いよ、ママ、助けて、誰か助けて)」 恐怖で声が出せず、身体を震わせ縮こまっている私の耳に、別な男の人の声が聞こえた。
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