図書館の王子様

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「林のアホ、ボケェ! お前なんか、十日連続で足の小指をどっかにぶつける呪いかけたるー!」 「ぶはははっ!」  え? 「足の小指を十日連続でぶつけるって、それ、地味にキツーい呪いじゃん……ぶふっ!」  嘘! なんでいるの? 林に叫んだ呪いを待ってた本人に聞かれた! 「マジ、やべぇ呪いじゃん。あははっ」  その上、眼鏡まで外して超ウケてる! この人、こんな笑い上戸でチャラ口調だったの? 「あ、ごめん。初対面なのに、いきなり笑うなんて失礼だった。謝ります。それ、今のヤツへのチョコだろ? ごめんなさい」  違います。君にです。林には道端の石ころでも投げつけとけば充分です。  訂正したいけど、寡黙な真面目くんイメージとのギャップに声も出せずにチョコの箱を握りしめることしかできない。  おまけに、興奮すると関西弁が出る癖を見られたショックとで、告白の意気込みも萎えていく。  もうだめだ。絶対、変な子って思われてる。 「俺もさ、チョコあげるヤツいるんだー」  えっ? そうなのっ? 「あの、あの! それって彼女さんですかっ?」  嘘! 男子からチョコあげるの? 逆バレンタインの相手はやっぱり彼女? 好きな人がいるの? 「ううん、彼女じゃないよ。ソイツ、俺の部活の主将なんだ。めっちゃカッコいいんだぜ? あー、俺からのチョコ、喜んでくれっかなぁ? かーくんってば、超絶クールだからなぁ」  ……え? 待って……今、かーくんって、言った?  全開の笑顔で堂々と教えてくれたけど、『部活の主将のかーくん』ってことは、チョコをあげる相手は男子、よね?  ということは、もしかして、この人! ホモォさんってことっ? 「ほほ……ほ、ほほっ」  声が震える。  ホモォ……ずっと好きだったのに、その相手がまさかのホモォだとぉ?  大ショックだ。
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