夏のチョコレート

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コーラ、チョコレートは歯を溶かすと、小学生の頃にきいた。 けれど僕は、第2次性徴の頃にはチョコレートフリークだった。 思春期の僕にチョコレートをくれたのは母とおばあちゃんだけだった。 女のコからの告白=チョコレート←だから僕はチョコレートがすきなのか。 もしも女のコがバレンタインデーに僕に贈り物をくれて、包みをあけたらクッキーだったら、僕はクッキーずきになっていたかもしれない。 べつに特にすきな女のコがいたわけでもないのに。僕は学校でバレンタインギフトをもらうことを夢見ていた。 僕がいるとうれしい、幸せだと思ってくれるひとがいるだけで、僕は満足だろう。 まさかだから僕は、男子生徒からバレンタインの贈り物をもらってもうれしかったと思う。 身内以外にバレンタインの贈り物をもらわなかったから、自己満足的にクッキーとか何かをすきにならなくてよかった。 その代わりに、自虐的に、歯を溶かすというチョコレートが大・大・大すきだ。 中学校にかよっていた時期、高校にかよっていた時期、部活にあけくれてオートマチックに大学に進学してなんとなく社会に出ていまも、カバンにはチョコレートがかならず入っている。 抹茶味、バナナ味、何とかキャラメル味、、そんなのが多い。 それはきっと、チョコレートの中でもホワイトチョコレートに目がないせいだからだろうか。ホワイトチョコレートにフレイバーを付けたようなチョコレートばかりカバンに入っていた。 それで、、ひさびさに昔ながらのポ●キーを食べたときに、衝撃的に美味いと思った。 いまの僕の目下のなやみは、夏にチョコレートを買いすぎて、真っ黄色のいちょうが落葉する冬の訪れの頃にも風味の落ちた夏のチョコレートを食べていること。白い斑点はチョコレートの劣化をよく表している。キャンディと思って噛まずに味わおうと思っても、僕はせっかちだからすぐにがりがり噛んでしまう。 ちなみに、僕はクリスマスのぶ厚い板チョコレートをカリッと味わうことが冬季休暇の大きな楽しみだ。赤のワインといっしょに。タマラナイ。 とにかく。 僕ははやく夏のチョコレートを消費してクリスマスを待たないと。
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