パフェ女

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レストランフロアによく来てくれるお客様の中に、知的障害の女性がいる。 食べに来るのはいいのだが、支払い能力がないので、お店側は来店を嫌っている。 しかし、障害者差別解消法に抵触するので、帰れとは言えない。 今回も彼女は、好物のパフェを食べに来て、お金が払えずに警備室に通報がきた。 「いつものパフェ女!何とかして!」 いつもは親に連絡して支払いに来て貰うだけなのだが、親を待ってる間に暇になるので、僕から話しかけた。 『パフェうまかった?』 「うん!また来る!また来る!」 『いいよ、おいで』 僕の発した言葉に、レストランの店長が眉間にシワを寄せて僕を睨んでいる。 『でも、約束』 「何?」 『パフェ食べたくなったら、お父さんかお母さんと一緒に来て』 「一緒に来る、約束」 『ね?約束。指切りできる?』 「うん」 『嘘つくと、もうパフェ食べられなくなっちゃうんだよ』 「やだ!!」 『だから、嘘つきにならないように、約束は守らなきゃね』 「うん」 『約束は、何だっけ?』 「お父さん、お母さん、一緒来る」 『そう。言えたね!!もう間違えないね』 「うん、また来る!」 『ちゃんと約束できたこと、話そうね』 「うん!!」 それから彼女は進化を遂げた。 始めは誰か同伴で来ていたのだが、何度も何度も支払いの光景を見せることで、パフェの値段とお金のやり取りを覚えた。 今や、彼女は一人で、1000円札を大事そうに握りしめてパフェを食べに来る。 そして、お店のどこかで僕を見つけると、全力で手を降ってくれる。
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