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お気に入りの女性従業員を狙って来店し、卑猥な言葉を浴びせる男がいる。
許しがたいので、痛い目見せてやろうと思って、ある秘策を練り、実行に移した。
「お姉ちゃんおっぱい大きいよね」
「お尻も好きだなぁ」
「パンツどんなの履いてるの?」
今回もこんな調子で下卑た笑いを浮かべている。
気持ち悪いが、僕は頑張る。
『おじさんかっこいいね、何歳?』
「は?なんだお前は」
『胸板厚いし、筋肉質だね。骨格も好き。すごいタイプだなー。ちょっと今からホテル行こうよ。近場でいいとこ知ってるから』
「は?え?」
あろうことか、僕はゲイのふりをした。
男の腕を強引にぐいぐいと引いてやる。
あんなに自信たっぷりに女を口説こうとしていたのに、たじろぐ男が面白くてとまらない。
『何してんの、早く行こうよ!おじさんのバッキバキのそれ、僕に突っ込んでよ』
僕は男の股間を指差して言い放った。
恥ずかしさなんてとうに捨てている。
「な、な、何を言ってるんだ?!」
『え?嫌なの?』
「当たり前だろう!」
『ちぇっ!おじさんがお姉さんにやったことと同じことしただけなのに』
「!!!」
『おじさんが嫌なようにね、お姉さんも嫌なんだと思うけど?わかったら早く帰って、もう来ないで。一応僕、ここの警備員だから』
結果、非常に効果的だったようで、約4年、男を見ていない。
上司からは、笑い泣きされた。
【面白いけど、やりすぎ。お前が犯罪者じゃないか。もうやるな】
そう言いつつも、大爆笑。
お店側からは感謝された。
お陰でなかなか解決しなかったこの男の案件があっさり終わったと、謝礼まで戴いた。
ただ、ひとつ問題がある。
僕は完全にゲイ認定されてしまった……。
言っとくけど!
僕、こんなだけど、ちゃんと嫁さんいるんだからね!
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