自称超能力者

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インフォメーションに来て、支離滅裂なことを言ってる人がいる。精神異常者のようだ。 こんな通報が来て、上司と僕が現場に出ていく。 僕の対応を、後ろで上司が見守る。 『いらっしゃいませ。どうしましたか?』 「お前に光は見えるか」 『え?』 「ご来光は……!」 『今は見えないなぁ。日の出のことでしょ?』 「話のわかるやつだな」 『ありがと。今日はどうしたの?』 「神を拝みに来た」 『神はここじゃないよ』 「なんだと?どこだ?」 僕は外を指差す。 「そうか。どうやら道を違えたようだ」 『地図見せてあげようか?』 「何?!かたじけない」 僕は自分のスマホを取り出し、近くの神社を検索する。 『ここが一番近いよ』 「ご来光は見えるか」 『見えない。見たけりゃ山登って』 「神には会えるか」 『会える』 「俺には神が見える」 『そうなの?じゃ、いっぱい話して帰るといいよ』 「おお、商売の神が見える!!」 『そうそう、うちを守ってくれるのはこの神様だからね、じゃあね。もう場所間違えちゃだめだよ。うちはお店で、神社じゃないからね』 そう見送ってから3年経つが、彼を一切見ていない。 上司によくあんなのと会話できたなと言われた。 支離滅裂さ、僕も負けてない。
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