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「あれ、理華(りか)ってば、カバン、忘れていっちゃったんだ」
紗恵(さえ)の言葉を聞こえて振り返ると、僕の机に小さなのトートバックが置いてあった。
クリーム色のバックの中身は、お弁当箱と手作りチョコレート。
さっき嬉しそうに話していた理華のこと思い出す。
「今日ね、早瀬君渡すんだ!」
「そっか、上手くいくといいな……」
この言葉に嘘はないのに、すっーと寂しい気持ちが心に広がる。
彼女にとって初めての本命チョコ。
去年までチョコを渡すのは、僕だけだったのに……。
もちろん渡されたチョコが本命じゃないっていうのは分かっている。
でも、彼女が小さい頃から一番近くにいたのは、僕だった。
僕は、小さなカバンを手に取った。
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