4/8
前へ
/8ページ
次へ
いや、そんなことはない、と自分の考えを否定する。 彼女にとって、僕は特別だ。 けれど、他の男の子たちに求めているものを、僕に感じてくれることは決してないだろう。 心の隅で小さな落ち込みを感じながら、道に出た。 右、左とキョロキョロと見渡すと、少し先に理華の姿が見える。 僕は彼女の姿を見つめながら、足にぐっと力を入れ、走り出す。 自分の走っている音が耳に響き、リズミカルな動きで体が喜んでいるのが分かる。 がむしゃらに走ることはせず、カバンの中身を気を付けながら駆けていく。 中学の時にだけ陸上をやっていた。 しばらく走ってはいないけれど、体はいつまでも走り方を覚えている。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加