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「今日はバレンタインデーだな。」
「おう、そうだな…………で?
俺が言うのも何だが、女子はこぞってイケメンの元へ走るもんだ。俺には冗談でもお前がそうだとは思えんなぁ。」
「お前が言うなよ。」
「そうだな。」
いわゆる非モテ高校男子である俺達。チョコなんて夢のまた夢だと三年前には悟った。
と、たそがれる俺達の所へ一人女子がやってきた。クラスの中心にいる系の、それなりにカワイイ娘だ。手には何やら紙袋を持っている。
「ねぇ二人とも、もうチョコってあげたっけ?」
「「え?」」
この子は何を言っているのだろうか。彼氏はどうした、サッカー部の川西先輩は。
だが、俺らの間抜けな顔を見て悟ったのか、少し笑いながら話し出した。
「いや、今クラスの皆にチョコレート配ってて…………あ、モチロン義理よ?で、たぶんあんた達にだけ配って無かったと思うんだけど?」
「「貰ってないぞ!!」」
こいつ良い奴だ!!
「そっか、じゃあ………………あれ?………………ゴメーン、一個しかないや。」
そう言って紙袋から小さな市販のチョコレートを一つ取り出し机の上に置いた。
「ごめんねー、そう言えばさっき一個つまんじゃったんだ。なんとか二人で分けて………ねっ?」
可愛らしく手を合わせ、笑いながら謝られた。そんな顔をされて許さない男はいないだろう、少なくとも俺らみたいな人種の中には。
「…………どうする?」
「決まってんだろ。」
……………そうだな。
「………お前が分け合うなんてアホなこと言うわけ無かったよなぁ!!」
「おうともよ!!」
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