0人が本棚に入れています
本棚に追加
ー☆ー☆ー☆ー
今日はいつもより早く検査が終わった。
日がくれる前に帰れるなんて、いつぶりだろう。
って、夏が近いから日も長くなってるのか。
どちらにしても………
「暑いのは嫌いだなぁ……」
「そうか、嫌いか。俺は言うことの聞かないガキは嫌いだ。」
「…………。」
寮の入口まで帰ってきたや否や、第一声に聞こえたのがこれ。
はぁ………なんでいるんですかこの人は。
…………まさかずっと私の帰りを待って…?
「…………ストーカー?」
「誰がだっ!?アホっ!」
「………じゃあ、何?」
「誰かさんが俺様の忠告を無視して出ていきやがったから、ちゃんと帰ってきたかどうか確認しに来てやったんだろうが。」
「あ、そう。じゃ。」
「…おい。なんか言うことあんじゃねぇのか」
「…………さぁ?」
「お前なぁっ!人がせっかく心配してきてやったのに、お礼もなにもねぇのかっ」
「イッタ!知らないよ!アンタが勝手に心配したんでしょっ?!余計なお世話だっての!」
「あぁっ?!こんの生意気なガキがっ!!」
私は叩かれた頭をさすりながら、加藤に負けじと言い返す。
いつもこんなだ。
コイツが担任になって1年ちょっと。
顔を合わせりゃケンカになって。
今じゃ学校の夫婦漫才なんて言われることもある。
………誰がこんなんと。
加藤は、教師になって3年目の新米だ。
けれど5年前にノルティ第一魔法学園主席卒業と
そのルックスもあってか、生徒からは人気を集めている。
当の本人は、堅物のため人気なんてクソ喰らえだ、
なんて言いそうだけど。
つまり、人と関わるのが苦手なのだ。
そしてそれは、私と同じ。
………ほら、よく言うじゃん。
同種の人間ほど反りが合わないとかなんとか。
だからさ、去年コイツが担任になったときは……もう、ね。
最初のコメントを投稿しよう!