エピソード1

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ー☆ー☆ー☆ー 今日はいつもより早く検査が終わった。 日がくれる前に帰れるなんて、いつぶりだろう。 って、夏が近いから日も長くなってるのか。 どちらにしても……… 「暑いのは嫌いだなぁ……」 「そうか、嫌いか。俺は言うことの聞かないガキは嫌いだ。」 「…………。」 寮の入口まで帰ってきたや否や、第一声に聞こえたのがこれ。 はぁ………なんでいるんですかこの人は。 …………まさかずっと私の帰りを待って…? 「…………ストーカー?」 「誰がだっ!?アホっ!」 「………じゃあ、何?」 「誰かさんが俺様の忠告を無視して出ていきやがったから、ちゃんと帰ってきたかどうか確認しに来てやったんだろうが。」 「あ、そう。じゃ。」 「…おい。なんか言うことあんじゃねぇのか」 「…………さぁ?」 「お前なぁっ!人がせっかく心配してきてやったのに、お礼もなにもねぇのかっ」 「イッタ!知らないよ!アンタが勝手に心配したんでしょっ?!余計なお世話だっての!」 「あぁっ?!こんの生意気なガキがっ!!」 私は叩かれた頭をさすりながら、加藤に負けじと言い返す。 いつもこんなだ。 コイツが担任になって1年ちょっと。 顔を合わせりゃケンカになって。 今じゃ学校の夫婦漫才なんて言われることもある。 ………誰がこんなんと。 加藤は、教師になって3年目の新米だ。 けれど5年前にノルティ第一魔法学園主席卒業と そのルックスもあってか、生徒からは人気を集めている。 当の本人は、堅物のため人気なんてクソ喰らえだ、 なんて言いそうだけど。 つまり、人と関わるのが苦手なのだ。 そしてそれは、私と同じ。 ………ほら、よく言うじゃん。 同種の人間ほど反りが合わないとかなんとか。 だからさ、去年コイツが担任になったときは……もう、ね。
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