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「おねぇちゃんっ?!!」
酷く近くから聞きなれた声が聞こえてきた。
驚いて目を開けると、まごうことなき昴(すばる)がいた。
学校帰りでランドセルを背負った弟がほんの近くにいた。
………何してるの?………なんでこんなところにいるの?
………アンデッドが目の前にいるのにっ
「昴っ!逃げてっ!!」
私はとっさに叫んでいた。
けれど、状況は悪化していた。
手の空いていたアンデッドたちが昴に近づいていく。
やめてっ!弟に手を出さないでっ!
私の必死な懇願は声にならなかった。
他のアンデッドが私の首に噛み付いた。
頭を掴んでいた手がさらにくい込んでいく。
「……あ、がっ………うぐっ………」
思わず苦痛が漏れる。
首から出ていく大量の血が体温を容赦なく奪っていく。
視界がぼやけた。
痛い。痛い。痛い。痛い。
けれど私の意識は、痛みよりも弟に向けられていた。
逃げて。早く。お願いだから、逃げて。
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