エピソード1

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「おねぇちゃんっ?!!」 酷く近くから聞きなれた声が聞こえてきた。 驚いて目を開けると、まごうことなき昴(すばる)がいた。 学校帰りでランドセルを背負った弟がほんの近くにいた。 ………何してるの?………なんでこんなところにいるの? ………アンデッドが目の前にいるのにっ 「昴っ!逃げてっ!!」 私はとっさに叫んでいた。 けれど、状況は悪化していた。 手の空いていたアンデッドたちが昴に近づいていく。 やめてっ!弟に手を出さないでっ! 私の必死な懇願は声にならなかった。 他のアンデッドが私の首に噛み付いた。 頭を掴んでいた手がさらにくい込んでいく。 「……あ、がっ………うぐっ………」 思わず苦痛が漏れる。 首から出ていく大量の血が体温を容赦なく奪っていく。 視界がぼやけた。 痛い。痛い。痛い。痛い。 けれど私の意識は、痛みよりも弟に向けられていた。 逃げて。早く。お願いだから、逃げて。
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