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「おねぇちゃんっ!」
私のことはいいから。早く………安全なところに……行って……
やっとの思いで向けた視線は、地獄絵図を映した。
「おねぇっ……うわぁっ!来るなっ!バケモノっ!!来るなぁっ!」
昴っ!昴っ!!やめて!弟はっ!弟だけはっ!
アンデッドたちが弟に群がっていく。
やめて!やめろ!
ドクンッ
その時私の中の何かが脈を打った。
自分からまばゆい光が放たれ、
気づけば弟の近くにいたアンデッドは残らず消えていた。
一瞬自分でも、理解出来なかった。
けれど、その光景を見てほんのわずかに安心した。
束の間の安堵。
私は体から溢れ出んばかりの魔力を感じた。
そしてよぎったのは、安心ではなく不安。
勝機ではなく恐怖。
まずい。
そう思った時には、叫んでいた。
自分の声だとは思えない、悲痛めいた叫びが。
「おねぇちゃんっっ!!!」
「来ないでっ!!!昂っ!!………うっ…ッ」
「………ッ?!……おねぇちゃんっっ?!!」
「……う、うわぁぁあああっっ!!!!!」
再び、まばゆい光が2人を包んだ。
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