第4章‐光輝く|剣《つるぎ》‐

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「この度、皆に集まってもらった理由は、とある者を捕まえられる者を見つけるためだ。」 「とある者…それってどんな…」―バタッ…― …それは唐突だった。 白い姿をした冒険者から、とてつもない殺気か覇気かわからないものが発されていた。 僕の防御魔術はそんな物ですらはじいていたので、きにすることもなく解除(レジスト)できていたのだが…。 「うわっ!どうしたんだよ…」―ドサッ― 依頼主の言葉に、戸惑いを隠せない冒険者たちが、次々と倒れていった。 それも眠るように。 「これはどういうことだよ…!依頼者さんよ!」 グラントが怒りに任せて叫び散らした。 ただ、その一言から、グラントが喋る事が出来なくなった。 それは、直接的に黙らされたとかという理由じゃない。 白いローブの男の殺気というか覇気というか…それが急激に増えたからだ。 「グッ…まさか、殺気で皆倒れてんのかよ…。」 「…中々の殺気ですね。私も集中していないと…まずいくらいです。」 珍しくヴェルすらも動じてしまうほどの殺気だった。 いつの間にかエリサも意識を失っていたようだ。 ちなみに、スパイスの入った瓶は僕の道具袋の中に入ってる。皇居に入る前にこっそりエリサから回収していたのだ。 もしも見つかってしまって、処分されるようなことがないとは言えなかったからだ。 「ほう…ここまで残りましたかな。」 「5人とはなかなかですね。」 …もしかしたら、僕はまたやってしまったのかもしれない。 今になっては後悔しかないけど、今更しょうがないと思って、むしろ堂々とすると決めた瞬間だった。
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