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「あーりすぅ!!」
それは、唐突な衝撃だった。
…久しぶりのベッドだというところで、僕も珍しく熟睡していた。まあ防御用の魔術を辺り一面に張り巡らせているから安全だ。それは問題はなかった。
それより問題なのは、朝早くからのボディーブローの方が問題だ。
勿論、魔術のおかげで痛くはない。重くもない。
だけど、普段魔術を使えないことになっている僕にとって、ここでの反応が結構重要になってくると考えていた。
なので、とりあえず演技をしてみた。
「エ…リサぁ…この起こし方は…痛いからやめて…。」
少しだけ過剰な感じになってしまったかもしれない。
「あ、ごめんねー!」
「うぅ…全く朝っぱらから何の騒ぎなんだよー。」
ボディーブローの衝撃と勢いで、スパイスの瓶が倒れていたのだろうか。
スパイスが不満そうな声がベッドの下から聞こえた。
「だってさ、新しい国なんだよ?朝早くから探索しないと損じゃない!」
エリサらしいというか、分かりやすい理由でつい笑いを堪えることになった。
「まあ…そうだね。ご飯食べてからギルドにでも行こっか。」
「ん!ついてく!」
元気なのはいい事だと思う。
元気すぎて困るというのも考え物だと思うけれど。
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