腐男子先生のアブない青春

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「なんだ? なんかあるのか?」  佐和が訊くと、川上はより複雑そうな顔をする。  もう一度訊こうとしたところで、化学室に続くドアが開いた。 「本田先生! 実験道具のリスト、早く出してもらえますか?」 「あ、悪い、今すぐ。……川上、続きやっててくれ」  川上に言いつけ、リストを出すためパソコンに向かう。  川上はなにか言いたそうにも見えたが――黙ったままだった。 (一体……こいつらの関係はなんなんだ?)  どう見ても、普通の友人同士ではない。  しかし、教え子の不仲な様子に頭を捻る佐和は、以前のように不埒なBL妄想をすることはなく、妄想することも忘れていた。    親しい教え子の不仲を純粋に心配する佐和は、あくまでただの――一教師だった。
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