腐男子先生のアブない青春

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 それから数日後、中間テスト一週間前になり、放課後全ての課外活動が禁止になった。 「こら~、さっさと帰れよ」  佐和は放課後の教室を順に回って、部活がないのをいいことに、中々帰宅しない生徒たちを帰らせるのに忙しかった。    特進科の生徒はどうだかわからないが、普通科の生徒たちはテスト前だというのに緊張感がなく、いつまでも放課後の教室に残っているのだ。    一年生から教室を回り、佐和が副担任を受け持つ、二年生の教室にやって来た。 「お~い、お前らも早く帰れ」  う~っす、と中の数人から低い声が返ってくる。  ゾロゾロと教室を出て行く一団は、帰りに勉強すると言って、ファミレスに寄る約束をしていた。   (どうせ、勉強なんかしないんだろうな……)  教師としては頭が痛い。 「あ、佐和ちゃん」  その一団の中に、川上がいた。 「あ~、川上! お前、わかってんだろうな?!」 「わ~かってるよ! 俺は、みんなとファミレス寄らないで、真っ直ぐ帰るよ」 「んだよ、川上、付き合い悪りぃぞ!」 「ば~か、川上は試合がかかってんだよ」 「悪りぃ、お前ら先に帰ってて」  川上が一団にそう言うと、クラスメートたちは素直に帰って行った。 「俺が中間テストで平均点取らなきゃならないの、みんな知ってるから」 「ああ、俺も今日からは勉強見てやれないけど……」  こっそり近づき、声をひそめる。 「どうしてもわからないことがあったら、電話しろ。俺の携帯、知ってるよな?」  すると川上が噴き出した。 「なんだよ?」 「いや……深山先生も同じこと言ってくれたんですよ」 「深山先生も?」  桂の名前に――小さく胸が鳴る。 「はい。二人して、すっげ~特別扱いしてくれんすね」 「バカ! お前が特別バカだからだろ!」 「ははは。ですよねぇ」  ふと真面目な顔になる川上。そのままペコリと頭を下げる。 「マジで、佐和ちゃんと深山先生には……感謝してます」 「アホ。それは、無事平均点取れてから言え」 「はい!」  川上は明るく笑った。  川上の笑顔に、胸が熱くなる。
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