白い太陽と褐色の尖塔

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 厨房から黒釜やチョコレートフォンデュの鍋、食器などを運び、テーブルに並べていく。  ホンチュンは、ハクテイたちが粗相をしないか、怖い目つきで監視している。 「おねえちゃん、ヘンな顔だと、リュウファン先輩にふられちゃうぞ!」  ハクテイが姉を冷やかした。   「ま、なんてことを!あんたたちが失敗しないかどうか見てるだけよ!」  カエデ城の一画は賑やかな歓声でいっぱいになる。  学校や動物たちの話で盛り上がるのはいつものことだったが、最年長のリュウファンだけが浮かない顔をしていた。  ここへ来る途中でも、リュウファンはほとんど口を開かなかった。 「何かあるようだな、リュウファン。話してみよ。まあ、想像はつくが」  侯爵は人工眼球を瞬きさせた。  リュウファンは立ち上がった。高い背丈とがっしりした体格は、大人とほとんど大差なかった。 「侯爵さま。わたしにはもう時間がありません。分別教育階程になる前に、テトラプリズンを解放したいのです」  テトラプリズンの言葉が出た瞬間、部屋は静まりかえった。  ハクテイたちの目的も、テトラプリズンの謎ときにあったのだ。  城内は広く、複雑な構造だ。  かつて要塞といわれた建物の内部には、幾つもの謎や秘密の部屋が隠されている。  その一つがテトラプリズンの存在だった。 「テトラプリズンの解放か」  かつての司令官は厳しい顔になった。侯爵はリュウファンを見つめ、さらにハクテイたちを見まわした。 「3つの謎が解けなければ、テトラプリズンへの道は開かない。それでは、述べてみよ、ハクテイ。3個の謎とは何か」  侯爵は微笑んだ。  ハクテイは詩の朗読のように答えた。  白き光を造る者、集うべし。  三つの波を捉え、籠にいれよ。  天空より道は開け、テトラプリズンは舞い降りる。  螺旋の先より、光溢れん。  
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