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順子はあの頃のようにあきれ顔で言った。
さすが、よくぞ聞いてくれた!
という喜びを隠しながらとぼけて俺はハイボールをグイッとあおって一呼吸おいてから聞き返した。
「何の事?」
「どうせまた仕事辞めたんでしょ?あなたが急に飲みに誘ってくるときは大体そう」
「やっぱりわかる?さすがだな」
順子の呆れ顔に少し笑みが入り混じった。
彼女は俺が5年前に別れた元嫁である。
よくあるキャバクラ店の仲が良い嬢とボーイの関係から始まり、
23の時に勢いで籍を入れ、
43の時に離婚した。
順子は俺の8コ下だった。
原因、
というよりは分岐点はいろいろあった。
一つは子宝に恵まれなかった事だと思う。
俺も水商売の人間だし、
そこらのサラリーマンよりかはよく妻を抱いていた方だったとは思うが、
一向に妊娠の兆候はなかった。
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