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幼い頃、高満と砂場で遊ぶのは自分だった。自分たちは幼い恋人同士だった
しかし、斉藤家は金持ちで、会社の重役にもなっている。
「金を払うから、高満と別れてくれないか」
差し出された札束を目に、両親は目を輝かせた。
「高満くん、高満くん……」
学童保育で繋がってられると考えたあさましい自分。
妹を守る自分でいれば、高満と繋がっていられると思った自分。
そんな自分が情けなくて……情けなくて。
「女たちもいなくなったな。じゃあ、僕は教室へ帰るよ」
「あ」
と言って、制服を引っ張った。
「なんだよ」
その無邪気な顔に、己のあさましい恋をぶつけて拒否されることに怯えた。
告白して、この顔がゆがむのを見たくない。高満に群がるその他女子と一緒にされたくない。
「なんでもない」
そう言って、その手を離した。
高満が去ってしまったが、机の下でぼーっとしていた。
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