6人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
「行くぞー」
宮根屋と千春が自転車をこぎだしたとき、
「待ってくれー」
と補助輪付き自転車をごろごろと漕ぎ出す斉藤高満@自転車に乗れない子。
「がんばって、がんばって」
宮根屋は後ろに付き添って、励ましている。
「君の恭子ちゃんが待ってるよ。自転車に乗れるお兄ちゃん、すごーいって思うはず」
乗せるの何気にうまいよね……と千春は考えた。
「僕の恭子が……?」
「そう、君の恭子ちゃんが待ってる」
おにいちゃーん。
あはは、お兄ちゃん、こっちだよー。
などと、いう幻想を見たかどうかは知らないが。
「僕は自転車を漕ぐぞおおお!」
と言って、大きく漕ぎ出したのだった。
最初のコメントを投稿しよう!