the King of Kings

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「七月七日から十一日ですけれど…。」 「妊娠してます。」 「えっ? 本当? 本当に妊娠してるの?」 杏奈は思わず飛び起きた。 「はい。六週ですね。」 「すごい!! パパが金メダル取るのを目の 前で見てたなんて、何てすごい子なの!!」 洸一と杏奈は互いを見つめ合った。二人の DNAを受け継ぐ子がまたひとり誕生する。 オリンピック独特のこの雰囲気も スタジアムのざわめきも胎児記憶として 残るといい。そして、いつか本人が同じ 場所に立って才能を発揮してくれたら。 「こーちゃん、来年も東京マラソンに 出る?」
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