3 部活じゃないのに(続き)

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3 部活じゃないのに(続き)

最初に箸を付けたアジのつみれ揚げは、 ふんわりとしたつみれと、シャキッとしたレンコンの食感が良く、 用意された塩山椒が魚のクセを取ると同時に、大人の味を醸し出す。 そんな事を素直に口にすると、向かいの先輩はサラリと言う。 「今日はアジになったけど、サンマなら、もっとクセが少ないから 山椒の香りが更に生きるはずなんだ。 それと、店に出すなら、つみれの原料は一定量を準備するとして レンコンを混ぜなければ別メニューにもできるから、無駄にはならないと思うぞ」 「そうですね。それに店で魚をさばける人がいるなら、この中骨せんべいも 無駄なくお通しなんかにできますしね」 「ああ。ガーリックっていう強力な助っ人があるから、 ドリップさえ落とせれば、(さば)く段階で一気に仕込みまで出来るだろうしな」 そう言われて、私はハッと思い付いた。
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