4 「じしん」にグラリ

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だから私も、素直に頷き返した。 「はい。実は、先週から自主トレを始めまして。 だから今回は、ちょっとだけ自信があるんです」 「自主トレ? へぇ、道理で少し変わったと思ったよ。でも、偉いなぁ」 だが、あまりにもストレートな褒め言葉に、ちょっと照れたのが墓穴の始まりだった。 「いえ、いえ。偉いなんて、とんでもない。 自分で思い付いた訳でもないし、 手伝ってもらって、なんとか始めたくらいですから」 えっ……? 一瞬、キョトンとした福澤の動きが、にわかに止まる。 そして、 「誰か、友達と始めたってこと?」 尋ねられ、私は、すんなり先輩との自主トレの流れを話していく。 ところが、話し終えたところで「そう」と呟いたのを最後に、 先輩同僚は黙って試食作りを開始した。
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