4 「じしん」にグラリ

8/21
前へ
/37ページ
次へ
あれ? 何か、不味い事でも言ったのかな。 一瞬にして、鈍い私でも気付くほど、場の空気がぎこちなくなった。 だが、いつもながら鮮やかにサンマをさばき始めた福澤は 黙々と作業に没頭しているし、こちらも自分の作業を始めざるを得ない。 第一、今の福澤からは、明らかに「話しかけるな」オーラが放たれている。 そして、そんな気まずい空気の中で互いに沈黙の中で作業を続けること、 1時間余り。 ようやく企画案の試作が完成して、まずは試食。 ところが、その段階で、やっと福澤が重たく口を開いた。 「あのさ、今回は、もう部内で企画が通ってるからこのまま続行するけど。 でも、やっぱり外部の人の案を企画にするのは、どうかと思うんだ」 「えっ……?」 一瞬、彼の言っている意味が分からなかった。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加