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あれ? 何か、不味い事でも言ったのかな。
一瞬にして、鈍い私でも気付くほど、場の空気がぎこちなくなった。
だが、いつもながら鮮やかにサンマをさばき始めた福澤は
黙々と作業に没頭しているし、こちらも自分の作業を始めざるを得ない。
第一、今の福澤からは、明らかに「話しかけるな」オーラが放たれている。
そして、そんな気まずい空気の中で互いに沈黙の中で作業を続けること、
1時間余り。
ようやく企画案の試作が完成して、まずは試食。
ところが、その段階で、やっと福澤が重たく口を開いた。
「あのさ、今回は、もう部内で企画が通ってるからこのまま続行するけど。
でも、やっぱり外部の人の案を企画にするのは、どうかと思うんだ」
「えっ……?」
一瞬、彼の言っている意味が分からなかった。
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