序章 散った花

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花が散っていく、 その光景を私は何も出来ずにただ見つめていた。 何故か目尻の奥が熱く、熱くなってよくわからないまま涙が溢れ出してきた。 紫色の、花だった。 綺麗で、可憐で、だけど派手すぎない、花だった。 大切な人がいた。 家族に捨てられ友人に見放され恋人に裏切られた。そんな私が初めて、大切だと大好きだと…愛していると思えた人がいた。 幸せだった。とても。 彼と長い時間を共にしていたいと、一生を捧げてもいいと…本気で思っていた。 だが、私は何も知らなかった。彼の事も、自分の事も…花は散りゆくものだと言うことも。
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