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黒羽さんと藤崎さんの様子には、やっぱりドキドキされっぱなしだ。
『ホモが嫌いな女子はいない』
という言葉を少女漫画で読んだことがあるけど、改めて本当だと思う。
ボタンをしっかりと留めた黒羽さんは、だらしなく緩んだ藤崎さんのシャツをズボンの中に押し込んで、腕を組んだ。
「少しは、マシなったか。あとは、この女のような髪だが ……」
「後ろでくくるしかねーだろ」
「え?そこまでしなきゃダメ ?」
「よし、何か縛るもの出せ」
「そんなの持っているわけないでしょ」
「まったく……」
呆れた表情を浮かべた黒羽さんが、私をじろりと見た。
「葉月さん」
「は、はい」
「何か留めるもの持ってないか ?」
「あっ、あります」
私は、左手首に着けていた、少し伸びた黒いゴムを急いで外すと、黒羽さんに手渡した。
「よし、これで髪を全部くくれ」
「子猫ちゃん、これちょっと使い好ぎなんじゃない?」
かああ、と頬が熱くなる。
女子力が、低すぎる自分が本当に恥ずかしい。
くくっと笑った藤崎さんは、髪をゆっくりと掻き上げ、手際よく髪に指をはわせて、髪を束ねた。
人差し指で眼鏡を上げながら得意げに黒羽さんを見据えた。
「これで満足だろ?」
藤崎さんが軽く首を傾けると、 きっちりとボタンが留められた白いシャツの上で、金髪の束がさらりと揺れた。
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