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「サナはさ、その場その場で、目の前の問題だけを凌ごうとするじゃん。だから何か、説得力ないんだよ。ちょっとずつ矛盾もあったりするし。
やってることはスゴいのに、表面的な安っぽさが目立っちゃってる」
まさかぼーっとしたトワからそこまで踏み込んだ指摘を受けるだなんて、正直言ってかなり衝撃だった。
しかも、自分が一生懸命頑張ってきたことに対する批判を悪びれることなく正面から告げられてしまい、それが正論なだけに悔しさも増した。
「わざわざそんな小細工に神経すり減らすことなんてない。サナは、主将として、長期的な見通しを以て皆に指示するべきだよ」
「そんな簡単に言わないでっ」
「簡単じゃないよ。そんな風に言ってない」
「言ってんじゃんっ!」
「言ってない。言ってないけど、でも……」
口ごもるトワに対して、やっぱり思い付きの戯れ言じゃんっと言い込めた気分にはなりつつ、それでも達成感は皆無だった。
暗く重く渦巻く気持ちは大きくなる一方だ。
「でも、私は、サナの明るい真っ直ぐな走りが好きなの。私のフォローばっかりじゃなくて」
「やめてよっ。そんなにイヤなら、あんたのことなんかもう構わないよっ」
「いーよ、全然、それで。サナは、サナのプレイをしてくれたらいんだよ」
「するよっ! すれば良いんでしょっ!」
「……やっぱやだ」
「アンタ何なのっ!」
「だってっ、……サナが私のコト見てくれるの、嬉しいんだもん……」
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