チヨコレイト

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 私は、どこで間違えたのだろう。  去年はまだ、他の人のチョコなんて気配もなかった。  高校受験の最中で手作りこそしなかったが、雑誌にも載った評判のケーキ屋さんに足を運び自分で選んだ私のチョコが、一樹の唯一の収穫だった筈だ。  上品に振り掛かった金箔が美しく、また縁起も良さそうだと大喜びした一樹は、 「これでクラスの奴に、家族以外に貰ったって言える」 と、アホなコメントをしてご満悦だった。 「ばっかじゃない」  いつもどおりの、私の返事。これが、いけなかったのだろうか。  いや、むしろ、更に続けた台詞、 「実質的に、家族以外って言って良いのか疑問だけどね」 コレなのだろうか、原因は。  私の口の悪さは兄を持つ妹の宿命的なものだ。もう今更、どうしようもない。特に、幼馴染みである一樹の前で女の子らしく振る舞うことなど天地が引っくり返る程の驚異にすら感じる。  つまり、無理なのだ。  可愛くなんて、とてもできなかった。  それを棚に上げて「女の子として見て欲しい」とお願いすることは、更に敷居が高い。  そう、決めつけていた。  私が自分勝手な思い込みで沢山のチャンスを逃してきたのは多分、間違いない。
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