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「したいんだろ?」
……そうなのだ。
何をどう言い訳しても、したいか、したくないかの二択なのだとしたら、
「……したい」
「……っははっ」
「何それ」
自分から誘導したくせに、珍しく素直な私の対応に変な間合いで変な笑いを返してきた一樹を、遠慮なく睨んでしまう。
まさかこの流れの中で『あんなムッツリとは疎遠でよし』とか言うつもりだろうか。
「いや、ごめん、ちょっと煩悩が頭掠めただけ。気にすんな、ぁははっ」
「煩悩?」
「さて。それじゃ今から、『仲直り』の目的の為の作戦を練ろうぜ」
「えっ、いや、作戦て」
「どーせ表面的なケンカじゃねーだろ。根本的な解決を目指すには、筋道立てて整理しなきゃな」
「……そか」
「だろっ。ほら、お前んち行こっ」
「……一樹、理屈っぽくなったね?」
私の精一杯の反撃がこんな皮肉というのも、情けない話だ。
「そりゃお前、俺カースト最上位の奴が、俺を自己内カースト最下位くらいに位置付けたまま俺を放置しまくってくれるから、脳内シミュレーションで遊ぶ癖がついちゃったんだよ」
「……はぁ……」
説明を聞いても即座に理解できないのは、私の理解力云々ではなく一樹の説明センスの無さだと信じて支障ないだろうか。
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