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ただ、毎年一回戦敗退している進学校らしい弱小部とはいえ、1年の私たちがレギュラー入りするほどのレベルでもなかった。
私などは当然だが、トワですらメンバー内で突出した技能やセンスがあるとは言えず、私たちは地道な応援と練習と基礎訓練に明け暮れた。
偶然にも私たちの入部した年度にバスケ部の顧問が替わり、大学の強豪バスケ部出身の新しい教師は、若さと活力に溢れ、練習にも恐ろしく力が入っていた。更にその顧問の伝で、かつてプロとして活躍したバスケ選手にもコーチとして度々練習に参加してもらった。
そんな幸運な状況の中、トワはどんどんバスケにのめり込んでいった。
今年の夏の代替わりを待たずにトワが部の主要レギュラーになる雰囲気は、既に色濃く漂っている。
「彼氏とか、ダメだからね」
「いやいやいや、トワにそんなこと言われる筋合いはないでしょ」
「あるよっ。サナなしのバスケなんか、今更考えられないからね、私」
「いや、そんな大袈裟な。てか、何で私の存在消されてんの」
「サナは私の唯一の存在なの。サナ、判ってたでしょう?」
勿論判っていた。
というかむしろ、私にとってトワが唯一だった。
トワがいてこその、バスケだった。
トワとプレイをする為に、トワの輝きを間近に感じ捉える為だけに私はバスケを続けているのだ。
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