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「…で、そこの蕎麦粉ガレットが激ウマ。
今度ぜひ一緒に行きましょうよ!」
「結構です」
烏丸さんは絶対に誤解している。
どうやらこの成田リナを、
流行りものやスイーツ大好きな、
甘々女子だと思っているようだ。
「この前、飲み会で知り合ったのが、
なんとVaVaの専属モデルで。
すっごく仲良くなっちゃったんです、俺。
マミ先生が希望するなら紹介しますよ」
「結構です」
「そっかあ、可愛いコ同士、
気が合うと思ったんだけどな」
「結構です」
これ以上、私にケッコーと言わせないで。
いくらアナタの名字に烏が付くからって、
もう鶏になってしまいそうなんですけど。
「ところでマミ先生。
いま一番興味ある食べ物って何ですか?
俺、奢っちゃいますよ」
間髪入れずに私は答える。
「『いぶりがっこ』です」
「い…ぶりがっこ…??」
ようやく烏丸を黙らせたそのとき、
そりゃもう爽やかにナカダ氏が帰還。
>綺麗な顔してるだろ。
>抜いたんだぜ。それで。
(※某野球マンガの名場面をアレンジ)
彼はそのままカオルに近寄り、
何かを耳打ちしたあと、
艶やかな笑みを私に向けた。
「帰るぞ、リナ。
じゃあ小野寺先生、お邪魔しました。
烏丸、お前マジメに仕事しろよッ」
そこを出て、タクシーの中で私は訊ねる。
…カオルに何と言ったのかと。
「『リナに手を出したら、
貴方の存在を抹消します』と。
軽く脅しただけだ」
その迫力に、意味なく濡れた。
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