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助けを求めるおっさんの希望を叶えてあげられないのは確かに胸が痛む。
だが、こちらも命は惜しい。
「誰が正面から戦うと言った? 森に隠れながら各個撃破を狙う。長期戦になるだろうが、まったく勝てないという相手じゃない」
そう言うと、ヤツは俺に反論の口を開かせる間もなく「それに」と囁いた。
「討伐したホワイトドラゴンは高値で引き取るそうだ」
「え、それマジすか?」
「ホワイトドラゴンの素材が市場に出回ることは滅多にない。それはお前だって知っているだろう?」
あの大ボスを狩ろうなんて誰が思うだろうか。
その為に大変入手困難な貴重品であることは、誰もが知っていることだ。
ホワイトドラゴンのたてがみや革は防火・防寒・耐魔性に優れ、防菌・防かびなど、汚れというものを知らずにいつまでも白さを保つ。近年の研究では、花粉症対策にも良いのだとか。
その美しさには魔法職の人間のみならず、貴族や成金連中からも人気のある商品だ。
城下の防具屋で客寄せ用のものを見たことはあるが、雪の上ならともかく、森や草原といった場所では目立つ。
カモフラージュ性がとても低いので、実践にはどうかと思った記憶がある。
だが、高く売れる。
売れたら学費も家賃も払える。
次のバイトを見つけるまでの生活費も稼げるし、節約生活の中で涙ながらに諦めた小説にだって手が届く。
そうだ、ちょっと高くて美味しいものだって食える!
プレミアムコーヒー牛乳だって飲める!
「やりましょう!」
いやぁ、人助けって素晴らしい。
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