そのヅラをとりますか? →はい いいえ

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「えーっと、あのぉ」  俺は控えめに手を挙げる。  どこか金持ちの家に連れてこられたという状況だけは理解できたのだが、その理由が分からない。 「今、起きたばかりで状況が把握できないんスけど?」 「仕事よ」  俺の問いにママが答える。 「仕事ぉ?」 「たまに、こうして困っている人々を助けるんだ」  今度はエルアルトが笑みを向けながら言う。  この笑顔の下はとてつもなく腹黒いに違いない。  爽やかな笑顔と人は言うだろうがそんなもんじゃない。  黒い爽やかな笑顔、略して黒やか?  いや、もっとこう、悪そうな響きが欲しい。  黒くて、グロ……あ、グロやかというのはどうだろうか。 「さあ、こちらへどうぞ。今、お茶を用意させますから。簡単にご説明しましょう」  おっさんは脂ギッシュな額をハンカチで拭いながら、ファルメール準男爵と名乗った。 「魔王大戦のときに莫大な財を築いた商人の内の一人よ」  俺が座ると、ママが耳打ちしてきた。  どうやら生粋の貴族というわけではないらしい。 「勇者様達には、この近くの森に潜伏しているホワイトドラゴンの群れを討伐して頂きたいのです」
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