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そんな装備で大丈夫か?
「あ、俺、勇者一行の正規メンバーじゃないですから」
一度ソファに座った俺は即座に腰を上げたのだが、両脇に座るエルアルトとママが素早く引き戻した。
俺を中心に座らせたのは逃がさない為か。
「こういう依頼なら、ザット師匠とゲオルグじぃちゃん呼べよ! これなら勇者一行フルメンバーじゃねぇか!」
武闘家ザットと赤の魔法使いゲオルグは勇者一行の正式メンバーであり、俺はどちらかというと大戦の終盤に呼ばれた補欠扱いだったワケで。
俺は抵抗を試みたが、二人はガッチリと俺をキャッチして離さない。
噂に聞く、タチの悪いぼったくりバーのようだ。
「ザットはにゃんこ電話を持たないで放浪中。ゲオルグは八度目の再婚で新妻と旅行中。連絡もつかないし、今回は急ぎの依頼だ。俺達で何とかするしかないだろう?」
エルアルトは指を折って、無情にも俺の意見を一つずつ消去していった。
おいおいおい、俺達で……って、ホワイトドラゴンなんだが?
ここでおっさんの言葉を思い出してみようか。
群れと言わなかったか?
群れってことは複数だぞ、複数。
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