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「奴らの企みを阻止すべく傭兵を一個小隊、一週間前に送り出したのですが、寄せ集めはやはり駄目ですなあ。相手にならず、すぐに逃げ帰ってきましたよ」
苦笑いを浮かべるおっさんに俺は曖昧な笑みを返す。
そのまま俺はママに、
「一個小隊って?」
「約三十人から四十人ってところね」
さすがは元・戦士団長。終戦と共に引退したけれどもまだ覚えてはいるようだ。
と、いうことは、多くて四十人で立ち向かっても、ホワイトドラゴンの前には相手にもならないということか。
そんなヤツを相手に俺達は三人で挑めと?
じわじわと背筋から冷たい恐怖という名の感情が這い上がってくる。
だが、落ち着け、俺。
俺はどうせサポートなのだ。
危険だと判断したら、コイツ等を置いてさっさと逃げれば良いじゃないか。
よし、この作戦でいこう。
「さて、長旅で疲れたことでしょう」
一段落ついたとばかりにおっさんが一つ手を打って、腰を上げた。
「お部屋へ案内致します。本日はゆっくりお休みになられてはいかがでしょうか」
「そう言って頂けるとありがたいです。夜通しで馬車を走らせたもので、正直、体力を消耗しています」
エルアルトの横顔を見ると確かに疲労の色が見えた。
移動呪文は過去に訪れたことのある地へ一瞬にして移動できる便利な魔法である。
それを使わなかったということは、魔王討伐の際にこの土地を訪れていなかったようだ。
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