黒いにも程がある執事

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「そういえば、この子の活躍はあまり知られてないわよねえ。補欠だから」  うんうんとママが頷き、俺が冷遇されることに対して嬉しそうな顔をしていた。 「アルカはとある魔法を編み出したということで、俺達と最後に合流したんですよ」  エルアルトは溜め息と共に言葉を吐く。 「とある魔法、ですか?」  だから、その胡散臭いものを見るような目はやめてくれないか、執事君。 「魔王は自分の急所を自在に移動することができた。俺達はそれで一度、撤退を余儀なくされたのです」  目を細めた先に見えたのは、記憶の中に刻まれる悪夢のような光景だろうか。ヤツの眉間にしわが寄る。
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