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少女は「わからなかったの?」とでも言いたげな顔をしている。なるほど、だから僕のことも怖くないのかと、朽木は納得した。
朽木が、ひと目で彼女が幽霊だと気付かなかったのには理由がある。彼女はまだ、場所に足を縛られていなかった。つまり、幽体なのに、まだ足が付いている状態なのだ。
幽霊になった人間は、最初から足が無いわけではない。どうして足が無くなるのかといえば、大抵の場合、成仏せずに幽霊となった者は、自分の思い入れのある場所に留まる。生まれ育った場所や、思い出の場所、あるいは自分が死んだ場所などだ。
そうして、しばらく同じ場所に居続けると、場所に足が縛られて、幽体から足が無くなる。所謂、普通の人が思い浮かべる「足の無い幽霊」はそうしたものだ。
足が縛られてしまった者は、その場所から動けなくなってしまう。そうやって足を縛られた者のことを「地縛霊」と呼ぶ。
朽木は少女のまだ消えていない足を眺めながら言った。
「君はもしかして、最近死んだばかりかい?」
少女はコクリと頷く。
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