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「私、サクラっていうの。少し前に病気で死んだんだ。元々、身体が弱かったから」
死んだばかりなら、まだ足が縛られていないのも頷ける。しかし、まだ若いのに大変だったんだな、と朽木は彼女を見て思う。
「今、まだ若いのに、とか考えてたでしょ」
「え?」
思わず朽木の目が泳ぐ。
「えっと、よくわかったね。君は幽霊なのに超能力でも使えるのかい?」
「お葬式に来てた人がみんな言ってたの。『まだ若いのに残念だ』って。判で押したみたいにね。でも私、自分が死んだこと、そんなに残念だとは思ってないの。だって、もうこれ以上、病気に悩まされることはないでしょ?」
確かに、肉体が無いのだから病気の心配もない。朽木だって、旅を続ける中で、体調の心配や、食べるものの心配はしなくて済んだ。何と言っても死んでいるのだから、肉体的な制約からは解放されている。
「私、小さい頃からずっと病気がちで、友達と一緒に遊ぶこともできなかったし、学校の行事もほとんど休んでたの。人生の大半はベットの上なんだもん。すごく退屈だった。でもね、死んじゃってからは、こうして外を散歩しても平気だし、お祭りだって見に行ける。だから別に、みんなが言うほど残念だと思ってないの」
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