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サトシのつぶらな目にじわじわと涙が浮かんだ。
「くそっ。おれ、窃盗で少年院にいったんだ。2カ月間。ほんと馬鹿だった。それからまともな仕事は見つからなくなった。もう終わりだ、一生負け犬だって。人生投げちまった」
テーブルにおかれたサトシの手が強くにぎられ、ぶるぶると震えている。
「腐ってるときにアンダーソン&ジェフリーズの現地採用の話をきいたんだ。学歴は問わない。どんな仕事でもやり抜く人間が欲しい。年収は1年目から1200万。受かるはずがないと思ったが、ワンチャンに賭けてみた。まさかの合格だった。おれ以外に採用されたのは、みんな英語がペラペラの大卒とか院卒のやつばかりだ」
信吾は漏らした。
「それで汚れ仕事をやらされた」
「ああ、放火されたところは、再開発に頑固に反対してるところか、重要な立地の店ばかりだ。おれは福建からきたあの男たちの生活の世話をして指示を流す役だった」
「あのふたりは大須にいるの」
せなの質問にサトシはこたえた。
「いいや、名古屋駅前のビジネスホテルに長期滞在してる」
大輔がいう。
「ホテルの名前は?」
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