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ねぇ知ってる?
満開の桜の下には、死体が埋まっているんだって―
キーンコーンカーンコーン
そのチャイムと同時に生徒たちが一斉に立ち上がる。
「ねーさっきの話どういうこと?」
「聞きたい聞きたい!」
と、二人が長いポニーテールの美和の机に駆け寄り話し掛けた。
「あー、えっとなんかねーえっとーえっとえっと」
美和は「えっと」という言葉が多い
「何々?」
高めの声のツインテールの冴映。
あ!っという顔で、やっと思い出したのか話始めた。
「この高校の桜の下には、死体……悪魔が埋められているんだって!」
「…え?」
とセミロングくらいの髪の奈央が小さく呟いた。
「何それこわーい!ね!掘り返してみようよ!奈央!」
と興味津々に冴映が奈央の肩に手を置いて言った。
「さ、冴映… 掘り返すって、やだよ怖い」
奈央は肩にのった冴映の手を退ける。
「っえー!つまんないの!まぁいいや、帰ろう!」
うん、と美和と奈央が鞄を持って冴映を追いかけた。
ふと、奈央は窓に映った桜の木を見た。
(普通の桜だけどなー…。悪魔って…本当かな)
下駄箱を出て、階段をおりた。
「…あ!!!!」
と奈央。「ん?」
と二人が振り向いた。
「携帯教室に忘れてきた…」
やっちまった、という顔で奈央は
先に帰って!と二人に伝え、再び下駄箱に戻った。
――――――――――――――――――――――――――――
(あー危ない危ない!携帯忘れるとこだった。)
ほっとため息をついて駆け足で階段をおりる。
桜の木の前を通る………。
なんだか胸騒ぎがした。
「……あ……」
何となく呟いてみた。
「柏木ー!!!」
背後からの、聞き覚えのある声に胸がドキっとなった。
振り向くとやはり…
奈央の片思い相手… 本山明。
「本山くん…」
奈央の顔は一気に赤くなる。自分でも赤くなったのが分かった。
(わーわーわーわー本山くんだー!どうしたんだろうなんだろうあー好きだなぁ格好いいなーはぁ…声も素敵!)
奈央は心の中で興奮していた。
「じゃあね!」
(あ、それだけ…)
少しだけ奈央はがっかした。小さく明に手をふった。
キイイイイィィン
耳鳴りがした。誰のか分からない叫び声も聞こえる…。
…やっぱり、何だか胸騒ぎがする…
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